不正出血(不正性器出血)
診療案内
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不正出血(不正性器出血)をごく簡単に言うと、月経以外の性器出血です。月経がいつもと違う感じがする(量の多少、持続期間の長短、開始時期がいつもと違うなど)ということも入れる場合があります。私を含めた産婦人科医は不正性器出血を主訴に訪れた人を診察した時には、年齢や妊娠の有無、出血の部位、出血量などを考慮して系統的に診断していくのです。
不正性器出血はそれだけで1冊の本が出来上がるほどの内容がありますので、手短に説明します。
起きる機序(仕組み)から見ると、機能性出血と器質性出血に分けられます。また別に、妊娠に伴う出血もあります。
主に女性ホルモンの分泌が不調で、それに子宮内膜が反応して出血が起こります。その他に現在服用されている薬剤の影響や、出血性素因(何らかの原因で全身的に出血しやすい状態になっている事)により性器出血している場合もあります。
腫瘍、炎症、外傷などによる病変があり、それによって出血する場合のことです。
妊娠に伴うもので、切迫流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)によるものです。
出血の部位別には、
炎症(ばい菌が付いた)や外傷が多くあります。幼い子の場合は汚いところに座ったりして外陰腟炎を起こし出血します。また大人も含まれますが、自転車で転倒するなどして外陰部を強打して出血することがあります。打ち所が悪いと外陰血腫を生じ、急速に大きくなって出血性ショックをきたす場合さえあります。
性交時の裂傷や腟炎、膣内の異物などで見られます。
腟がんや外陰がんもありますが、これらの頻度はかなり低いです。
子宮頚管ポリープや子宮腟部びらん、子宮頸管炎、筋腫分娩、子宮頸がんなどでみられます。
機能性出血も含めると最も頻度が多いのですが、器質性出血でいうと子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫、子宮内膜増殖症や子宮体がんなどがあります。高齢の方の場合は子宮内腔に膿が溜まって出血することもあります。IUDと言われる子宮内避妊具が原因となって出血することもあります。
卵管に血腫ができたり、膿が溜まったりして起こります。中には卵管がんの可能性もあります。
以上、ごく簡単に述べてきましたが、出血の量についてはそれぞれの病態によって多く出血したり、少しだけの出血の場合もあります。出血の量が多ければ貧血になってしまうので早期の受診が必要ですが、少しだけだからといって重症でないというわけではありません。出血が少量で断続的であっても2週間以上性器出血が続く場合はがんである可能性もありますので、気になる出血があった時には、自己判断は避けて受診されることをお勧めします。
!!!まずは悩まず相談を!!!