外陰部(がいいんぶ)のかゆみ
診療案内
診療案内
外陰部にかゆみを生じた状態を外陰瘙痒症(がいいんそうようしょう)と言います。
これは、症候性外陰瘙痒症(痒みを生じる原因がはっきりしているのも)と特発性外陰瘙痒症(かゆみの原因が不明なもの)に分けられます。
かゆいのでかいてしまって二次的に皮膚炎などを起こすこともあります。
症候性外陰瘙痒症(しょうこうせいがいいんそうようしょう)の原因は、簡単に3つに分類できます。
1.感染によるかゆみ(5つの代表例)
2.アレルギーや物理的刺激によるかゆみ
3.ホルモン減少によるかゆみ
感染症が原因の場合もありますので、「性器の感染症」のページもご参考ください。
感染によるかゆみには、「外陰部ヘルペス」「尖圭コンジローマ」「外陰部カンジダ症」「トリコモナス症」「嚢胞外陰炎、膿瘡」といった5つの代表例があります。
単純ヘルペスウイルスの感染によって起こるもので、外陰部に潰瘍を生じます。はっきりと症状として現れているもの(顕性感染)は痛みを感じますが、潰瘍が小さかったりすると痛みではなくかゆみが主体で、少ししみるかなあという程度の症状でしかない場合もあります。
全く症状がない(不顕性感染)の場合もあり、知らないうちに感染してしまっていることもあります。感染すると腰髄の神経節にウイルスが潜伏してしまい、体調が悪い時に再活性化して神経を伝って再発します。治療として専用の内服薬がありますので、それを内服します。
ヒトパピローマウイルスの感染によって起こります。特徴的な皮疹(皮膚に出現する発疹)を生じます。診断がつかなければ切除して病理学的検索をして診断することもあります。通常は専用のクリームを使って治療します。
その他の治療法としては切除したり焼灼(しょうしゃく)したりします。
真菌(主にカンジダ-アルビカンス)の感染によって起こります。多くは腟カンジダ症に合併しており、粥状(かゆじょう)、酒粕状(さけかすじょう)のおりものとかゆみで来院されます。ですから通常はおりものを一部採取して顕微鏡で見てカンジダがいることを確認して診断がついて治療に移ります。治療は(内診台で)腟の洗浄をしてカンジダに効く腟錠を腟に入れるのを6回行います。どうしても通院できないという方や再発症例には1回で済む腟錠を使ったり内服薬を用いたりします。内服薬は妊娠中の人や妊娠の可能性のある人には使用できません。糖尿病があったり、妊娠中の方の場合には治りが悪かったり再発を繰り返したりしますので、当院ではカンジダ用の腟錠を3種類揃えております。
腟トリコモナスが感染することで起こります。通常は腟炎を起こして(おりものが出ます)
かゆみを伴うという感じになります。おりものの一部を採取して顕微鏡で見て腟トリコモナスを確認して診断します。治療は通常内服薬で行われますが、妊婦や妊娠の可能性のある方は腟の洗浄をして腟錠を腟内に入れる治療が選択されます。
雑菌が感染して起こるものです。ニキビのようなものができると思っていただいて結構です。
抗生物質の外用剤で治療します。
化学繊維や洗剤、薬剤、乾燥、摩擦と言ったものがあります。
少し具体的に言いますと、
これらは「外側」の問題で、腟炎は関連していない事が多いです。
閉経によって起こる女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少によるものです。エストロゲンの減少によって皮膚は薄くなって刺激に弱くなり、皮膚の乾燥感も強くなって皮膚炎を起こしやすくなります。この場合は腟壁の状態も同じ様になることが多く、腟内の常在菌が減ってしまうことによって腟炎も起こしやすくなります。
外陰部のかゆみが気になるようでしたら受診していただくのが良いです。
腟炎に伴って外陰炎が起こり、かゆみが出る事も多いので、外陰部のかゆみで来院された方はおりものについても検索することが多いです。夏場はやはり蒸れるので、かゆみが出ることが多くなりますが、そうした中にカンジダが伴っていることも多いのできちんと検索することが重要です。
かゆみが出るものの中には扁平上皮増殖症(へんぺいじょうひぞうしょくしょう)という病気があります。この病気から外陰がんが発症する率が高いので慎重に経過を観察する必要があります。
かゆみだけで受診するのはどうかと遠慮される方もあるかもしれませんが、市販薬を塗り続けても良くならなかった方が、カンジダの治療をして数日で治ってしまうこともあります。また、かゆみがきっかけで重大な病気が見つかる場合もあります。あまり我慢せずに受診してください。
!!!まずは悩まず相談を!!!